合格体験記

千葉県 K市在住 R.Mさん

最初に

 これから気象予報士になるための勉強を始めようとしている人、 独学での勉強に行き詰まっている人、そもそも何から始めて良い のか分からないという人は、1月と8月に行われる気象予報士試験 の日から約一週間後に、その無料解答解説会が民間気象会社によっ て開催されていることがよくあるので参加してみたら良いと思う。 試験を受ける人は当日、試験会場の入口付近で配られているビラを もらえば良いし、そうでない人は試験日以降にネットで検索すれば わかる筈だ。私の場合は前者のパターンで、初めての試験時と2回 目の試験時にはもらわなかったが、3回目の試験時には自分からも らいに行った。お手上げだったに違いない。第42回試験が終わっ た直後のことである。

「どうしたらこの試験に合格できるようになれるか?」
「もしかしたら自分はいつまでたっても合格できないのでは?」

 このように悩んだり焦りを感じることのできる人は勉強を続けて いれば遅かれ早かれ試験に合格できると思う。達成目標理論によれ ば絶対に試験に合格するぞという高いモチベーションで試験勉強に 臨む我々が必要な達成目標はマスタリー目標で、間違えがあっても それすら前向きに捉えることができ、あとは一歩ずつ前進するだけ だ。

「小さいことの積み重ねがとんでもないところへ行くただ一つの道」

 世界に羽ばたいたアスリートが言っていたが、スタートラインに おける私には、合格率わずか五パーセント足らずと言われている国家 試験に合格するというのは、この“とんでもないところ”に値した。

Challenge1

「まずは丸一日時間のとれる日に図書館へ行き、小学生用の算数と中学 数学、及び高校数学の本を手にし、学習用に用意されている席に着いた。 結構忘れているところが多く、見直して良かった。」

 私の場合、まず学科の勉強にあたって一般気象学と最新天気予報の技 術を読んだ。この二冊を選んだ理由は、最初に何をしてよいのか全くわ からず、ネットで合格体験談や勉強中の方々の意見を参考にしたことに よるものである。分からない箇所はどんどんとばし、全て読み終えること に専念した。いままで知らなかった事が色々書いてあり、どんどん興味 が 湧くことで意外と吸収できたが、理解できない箇所は覚えづらいし、 丸暗記では応用問題に対応できないことがあるため、予備知識が必要と なった。一般気象学は大学の教養課程で初めて気象学を学ぶ人のための 教科書として書かれたもので、予備知識としては高等学校卒業程度の物理 学と数学で十分とのことであり、まずは丸一日時間のとれる日に図書館 へ行き、小学生用の算数と中学数学、及び高校数学の本を手にし、学習 用に用意されている席に着いた。高校数学の本は面白いミステリー小説 なら五時間位で読み終えるハードカバー程度の厚みだ。まずは分数計算 から見直したため、結局小学生の勉強からになる。結構忘れているとこ ろが多く、見直して良かった。続いてルート計算、一・二次方程式、連立 方程式、因数分解などもやってみた。一・二次関数、指数・対数、三角 関数、数列・極限、ベクトルなど心が折れそうになるフレーズであるが、 特段ハイレベルな問題を解けるようになる必要はなく、概念の習得と入口 付近の簡単な演習問題を解けるようになれば良いわけで、微分・積分まで いくのにそれほど時間はかからなかった。流体力学においてはナビエ・ ストークス方程式や連続の式なども出てくるが、本番では今のところ高度 な計算は求められていない。新しい電化製品を買う度に読まされる取り扱 い説明書に比べたらむしろ丁寧に書いてあるし、楽に感じた。

「過去問は十回分をめどに正解・不正解問わず
解説本で理解を深めた。」
「実技問題は解けるようになったし理解したつもりであった
・・・何かが足りない気がした」

 そしてまた一般気象学を読み、つまずくと取り扱い説明書を開く。こんな 具合に進めていった。You tubeなどでも解説をしているので早送りで観れば 時間短縮になる。これを何度か繰り返し自信が付いたところで過去問に取り 掛かった。過去問は十回分をめどに正解・不正解問わず解説本で理解を深め た。専門知識に関しては数値予報の精度向上に伴い、覚える内容も変わるた め注意が必要である。気象庁HPから数値予報研修テキストで確認できる。 こうして私にとって初めての試験となる第四十回気象予報士試験を迎えたの は試験勉強を始めてから七カ月後のことである。実技の勉強はしていない。 本番で学科に手ごたえを感じられなかった場合はこの資格を断念していたと 思う。結果は一般・専門知識ともに合格でき、自信がついて非常にモチベー ションが高まったため、実技の勉強を始めることにした。
学科合格は一年経つとリセットされてしまうため、合格したその日からカウ ントダウンが始まった。すぐにゼロとなった。過去十回分の実技問題は解け るようになったし理解したつもりであった…が何かが違った。違ったという か何かが足りない気がした。独学の限界を感じた。

Challenge2

「民間気象会社の開催する講習会に参加してみた」
「水をもらいに行ったら井戸の掘り方まで教えてもらった感じだ」

 民間気象会社の開催する講習会に参加してみた。私が受けてみたのは本番 さながらの試験後、解答解説用紙が配られ、休憩をはさんで解説会(参加 者はこの時の動画を後日ダウンロードすることで繰り返し観て勉強するこ とができる)があり、その後は自由質問タイムというパターンだ。自由質 問タイムでは自習をしている人や参加者同士で情報交換をする人達も観ら れる。私の場合、訊きたいことがたくさんあったため、まさに質問タイム であった。時には試験範囲外らしい事柄の質問もしてしまったようだが、 スタッフの皆さんは快く調べてくれた。その道のプロの調べ方や考え方を 目のあたりにし、それらを真似るようになった。水をもらいに行ったら井 戸の掘り方まで教えてもらった感じだ。その後の本試験では、実技に関し ては時間が余るようになり見直しもできるようになったが、学科に関して は、一度覚えたはずの暗記事項を再度頭に入れるという作業に少ししんど さを感じるようになっていたため、専門を二回連続で落としたことは痛か ったし、次の試験で合格できない場合は、またまたリセットとなるためプ レッシャーではあったが、結果合格できて胸を撫で下ろした。

参考にした主な著書

一般気象学東京大学出版会
日本の天気東京堂出版
最新天気予報の技術東京大学出版会
数値予報研修テキスト気象庁予報部
気象観測の手引き気象庁
気象予報士試験 問題と正解気象業務支援センター
気象予報士試験 関連法規のポイント天気予報技術研究会
気象予報士試験 模範解答と解説気予報技術研究会

 気象予報士試験における知識的なものは、これらでほぼ網羅できていると 思うが、感覚的なものは時間がかかるため、早めにコアな気象会社に頼っ た方が効率が良いし時間短縮にもなるし、なにより経済的なのでおススメ。

受験経歴

Challenge1

第40回試験一般 ○専門 ○実技 ×
第41回試験一般 免除専門 免除実技 ×
第42回試験一般 免除専門 免除実技 ×

Challenge1

第44回試験一般 ○専門 ×実技 なし
第45回試験一般 免除専門 ×実技 なし
第46回試験一般 免除専門 〇実技 〇
第46回試験 合格

勉強法

「多数出回っている受験に関するテクニックを片っ端から
調べ、実践し、自分に合うものだけを取り入れた」

 実技演習は休みの日などの二時間通しで勉強できる日のみ取り掛かり、 断続的な時間は全て学科にまわした。全く書籍などを手にしない日が 何日も続く時期があったが、基本的には気象のことが頭から離れること はなく、電車、バスなどの交通機関を利用する際や入浴中、トイレ、 就寝時に目を閉じてから寝付くまでの時間など、考え事にはもってこい のシチュエーション時には、私たちが最低限覚えていなければいけない フレーズや暗記事項を頭の中で唱えることで、一度得た知識を極力失う ことのないよう努めていた。自家用車で信号待ちの際のそれは、後続車 の迷惑になるのでやめた。毎回クラクションを鳴らされる。 多数出回っている受験に関するテクニックを片っ端から調べ、実践し、 自分に合うものだけを取り入れた。必要であればネットで探せばすぐに 見つかる。

よく開くサイト

気象庁ホームページ 地球気象

「短期予報解説資料と週間予報解説資料を読むようになった
・・・実戦さながらの問題文とその模範解答文といった具合だ」

 気がつけばテレビを観ることがほとんどなくなり、結果、テレビの天気 予報を観ることもなくなった。代わりに気象庁予報部の出す短期予報解説 資料と週間予報解説資料を読むようになった。実況上の着目点と予想擾乱 の根拠が書かれているため、実技試験での記述問題の際に使用する特有の 言い回しに慣れてくるし、実戦さながらの問題文とその模範解答文といっ た具合だ。

最後に

「感覚や発想が多少なりとも身に付いてからは
学科試験よりも実技試験の方が楽になったし
想像力も豊かになった気がする」

 気象予報士試験に臨むにあたってよく話されている会話がある。 「文系? 理系?」 短期間でこの試験に合格できた方々の合格体験談を 読んだことがあるが、その人達が占める理系と文系の割合が実際どうなの かは別として、周りの人の会話や色々な情報などから文理共に同じように 苦戦する試験なんだという印象が強い。無論、入口付近では多少の有利・ 不利はあると思うが、大学という専門性が高い学習の場における経験がな い私は気負わず試験に臨めた。気象学において計算や重要事項の暗記は もちろん大事だと思うが、四季のある日本で生活する我々が季節の変化 ごとに感じている“暑い”とか“寒い”とか“ジメジメ”するとか、又は、 よく晴れた日の夜空に光る無数の星を観て“明日の朝は寒そうだ”と思っ たりするのを天気図などの資料を観ただけで同じように思ってしまう、 更には日本海に浮かぶ筋状の雲と縦縞の混んだ等圧線を観て思わず身震い してしまうとか…。 この感覚や発想が多少なりとも身に付いてからは学科試験よりも実技試験 の方が楽になったし想像力も豊かになった気がする。そして、この身軽に なったような何とも言えない感覚を短期間で身に付けてくれたのは、紛れ もなく気象会社のスタッフの方々であり、この出会いは気象予報士試験に おいて自分に運があったのだと思うし、ほんとうに感謝の気持ちでいっぱい である。今後は、この素晴らしい感覚や身に付けた楽しい知識を失うこと のないよう努力しつつ、新たな知識も吸収し、興味のある方には惜しむこと なく伝授していきたいと思う。差し当たって、今回私がしてきた勉強に 興味をいだいていた私の妻を気象予報士試験に合格させてみようと考えて いる。人に教えることは自分が理解するよりはるかに難しいし、根気が必要 だし、長い道のりになると思うが、そうすることで私がこれまで得た知識は 当分の間はキープできそうだし、夫婦で共通の趣味を持っている方々は皆 素晴らしく、なにより本人がやる気だ。気象予報士試験の攻略にあたって は、まだまだ未知のことや疑問点がたくさんある。試験に臨むにあたって まず何から始めて良いのか分からなかった以前の私がしたのと同じように、 皆さんがこの体験記から少しでもヒントを掴んでいただけたらこれほど 嬉しいことはないし、わずかでも恩返しができた気持ちになれる。

最後に、私の試験合格を自分のことのように喜んで下さった スタッフの皆様、本当に有難う御座いました。

R.M